彩乃:西村さんはどのような経緯でトーヨー新報さんに入社されたのですか?
西村さん:昔から新聞社に勤めて、最初からトーヨー新報にいたわけではないんです。友人がトーヨー新報にいて、そのつながりで前社長に声をかけられてトーヨー新報に入社したのです。
彩乃:すごいですね、いわゆる引き抜きというものですよね!!
西村さん:いやいや、響きはいいけれども、この業界に関してはまったくの素人だったから初めは本当に大変でした!でもどの業界でも奥を知れば知るほど楽しくなる、仕事に魅せられますからね!
彩乃:仕事が楽しいということは本当に幸せなことですよね。
西村さん:特に豆腐に関しては本当に面白い。日本にはたくさんの食品があふれてるけれども豆腐は全国どこで食べても同じ味がする唯一の食品だと思います。同じ大豆食品でも納豆は関西と関東でもだいぶ味が違う。ある関西の納豆メーカーでは、関東に納豆を売り出す際、関東商品専用に新しい工場を作ったぐらいですからね。わかりやすいものでは、そばやうどんの味が全然違うでしょ。
彩乃:それは豆腐が本当に日本人に愛され親しまれているからということですよね。
西村さん:歴史の古さが物語っています。豆腐は納豆よりもだいぶ歴史が古く、室町時代から食べられている。現在の豆腐は、安土桃山時代に豊臣秀吉が外国から捕虜として連れてきたものに豆腐を作らさせたという話も残っています。
彩乃:その当時の豆腐と今の豆腐はおなじものなんですか?
西村さん:室町時代の豆腐は今の豆腐よりも少し硬かったらしい。今の豆腐は水の中で豆腐を浸した状態で売られていますが、当時の豆腐というのは板の上に乗せて売られていたようです。
彩乃:豆腐がこんなにも日本人に愛されている理由は何だと思われますか?
西村さん:豆腐は日本においてインスタント食品の第1号だと思っています。
彩乃:豆腐がインスタント食品ですか!!
西村さん:豆腐はそのままでも美味しい。しょうゆをかけるだけでそのまま食べ物として成り立ってしまう。時間がなくてもすぐ食べられる。湯豆腐にしたってそんな手間のかかるわけでもない。なんにでもあう淡白さがあり、奥のある味わいが日本人に愛される理由ではないでしょうか。
彩乃:温かくても冷たくても美味しい食品って実はあまりないですよね!
西村さん:江戸時代に庶民にも豆腐が普及してきて、豆腐の調理法が書かれた『豆腐百珍』という本が作られたぐらいですからね。
現在のように洋風や中華といった調理法がない時代で100種類もの食べ方があるなんてすごいでしょう。
その『豆腐百珍』以外にも何冊か豆腐に関する本が作られていて、全部あわせると江戸時代には300種類もの豆腐の食べ方があったらしい。
彩乃:すご〜い!!
西村さん:でもこれに驚いていちゃいけない。食大国中国では3000種類もの食べ方があるらしいですよ!
彩乃:もう絶句ですね!!これこそ中国3000年の歴史の織り成す技ですね!!
西村さん:また豆腐程ありがたいものはないというプロの料理人もいます。料理人の腕次第で100円の豆腐が1、000円にも2、000円にもなる。それくらい調理のし甲斐がある食材なんですね。
彩乃:これほどまでに豆腐に精通されている西村さんが愛する豆腐の美味しい食べ方というのはどのようなものなんでしょうか。
西村さん:私の好きな豆腐屋まで出かけて豆腐が固まる前、半固まりの状態の豆腐をスプーンですくって食べるのが最高だと思いますよ。しょうゆをかけてもいい、時にはカレーにかけてもいい。本当に美味しいです。この間同じようにして豆腐を食べている外国人の方がいたのですがその人はその豆腐に、ジャムをかけて食べていたんです!!さすがにこれにはビックリしました。
彩乃:せっかく美味しいお豆腐なのに。もったいない・・・
西村さん:日本式豆腐の作り方を習いにフィリピンの人が工場にきていて、その時「豆腐の一番美味しい食べ方はなんですか?」とたずねたのですが、その返事が“ラーメンにいれて食べる”だったんです。
彩乃:フィリピンにラーメンというのも驚きですがその食べ方にはもっと驚きです。
西村さん:フィリピンの人たちにとって日本の豆腐というのは高級品なんです。フィリピンにも豆腐はあるのですが製法が少し違い、フィリピンの豆腐は約20円とすると日本の豆腐は約80円なんだそうです。だからその高級な豆腐をラーメンのような日常食に入れて食べることが贅沢だと言うんですよ。
彩乃:その高級な豆腐の作り方を覚えてどうするのでしょうか?美食家が沢山フィリピンにはいるのでしょうか?
西村さん:もちろん日本人用ですよ、日本人観光客が多く泊まるホテルに売るんです。もちろん豆腐作りに機械は使いません。人件費が安いですから全て手作りで作っているそうですよ。
彩乃:なるほど!!外国に行くと余計に日本食が恋しくなりますからね!!豆腐が外国のホテルで食べられるとなんだかホッとしてしまいそうですね。
|