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●黒森納豆の歩み
山形県酒田市にて「黒森納豆」を製造して約70年程になり、私が三代目ということになります。黒森は地名で400戸の集落ですが、真冬の二月に行われる「黒森歌舞伎」は270年の伝統をもつ農民芸能・雪中芝居として全国的に知られています。黒森納豆の初代、富樫伝作は昭和の始めに創業しましたが、もちろん稲藁で作ったわらつとの容器に煮豆を詰めた、わらつと納豆を作り、引き売りからスタートしました。
●純粋な大豆で
大豆は言うまでもなく地元産で、今思えば何の飾り気もない、純粋な国産わらつと納豆なわけで、農薬や遺伝子組み替えの問題、たれの化学調味料やごみ処理の問題等々何の心配もない納豆だったわけです。社会が進化し、包材や流通、物流が大きく変わった今日、目先の変化に自分自身が混乱してしまっているようで、反省することしきりです。
●手の中の幸せ
そんな中で私にとってひとつのよりどころは、毎日大豆に自分の手で触れていることかと思います。水に浸した大豆を水切りして、その時に手にもって触れるのですが眠っていた大豆が水分を得ることにより、「生」への活動を開始したとき、私自身の手の「生」との対話を楽しむことが、嬉しくもあり、ドキドキ感もあり、なんともいえない瞬間です。元気な豆か、美味しい豆か、と問う私の手にそうだよと答えてくれた時、至福の時となります。
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