13年前に「良品工房」を始めました。紀ノ国屋に営業に行き、やっと私の商品を置いてもらうことが出来ました。それから、他のお店でもポンポンと契約が決まるのです。「紀ノ国屋」に置いてあるということを話すとすぐに決定。ブランドに弱いのは消費者より、実はお店の人なのではないかなと思いましたね。 しかし、置いてはもらえるものの全く売れませんでした。このままでは潰れてしまう!と色々考え、自分のこだわりは思い込みだったのだと気づきました。作り手と買う人とにはギャップがあるんですね。 作り手の思い込みと消費者の価値観は違う。棚から動いて消費者の手に渡って初めて商品の価値が生まれるのです。商品を動かすのは流通関係者ではなく消費者なのです。 消費者は、友達や知り合いの「いいよ!」というものは買いたくなりますよね。その商品の良いことばかりを言わない、利害関係のない第3者の意見は信用できるのです。 そして、どのように売るかが大事。例えば、納豆の表面に商品名とか大豆の生産地とか水のこだわりや製法がよく書かれていますが、その納豆の裏面にとっても感心するようないいことが書かれているとしたら、表と裏を逆にしてもいいのかなぁと私は思います。また言葉の力もすごく大きい。商品名がおいしい、まずいまで左右してしまうこともあります。 パッケージも大切ですね。パッケージによってその商品の価格が全く違うように見えてくるのです。私達、消費者は納豆の良し悪しは分かりません。それは専門家が決めればよいことです。私達が決めるのは、買いたいか買いたくないかだけなんです。
香織:白田先生のお話にはとっても迫力がありました。 分かりやすい言葉で、楽しい例え話をたくさん交えての笑いの交じる講演に、香織は90分間聞き入ってしまいました。消費者の気持ちもお店の人の気持ちも分かる、白田先生のお話は会場全員にとって興味深いもので、新しい発見がいっぱいあったのではないでしょうか。 |