−納豆は、食を彩る 主人公− >


第21回気仙沼大会《ダイジェスト版》
宮城県気仙沼市に194点が大集結。
第21回審査結果
日本一は愛知県の山下食品さん。

No90 20th鑑評会当日。早食い大会、納豆食堂、ねば〜る君!
No89 20th鑑評会前日。偕楽園に水戸黄門像。納豆記念碑にねばり丼。
No70 世界最小の納豆屋
毎日12個は至高の12個

No.164 ショートケーキ風ミニタルト
カラフルで可愛く出来ました☆
No.133 生ハムと黒豆のカナッペ
黒豆納豆が見事にマッチ!
No.117 シュー納豆
ブルーベリーと黒豆が絶妙☆














まるさ食品さんに到着! ●静岡県伊東市へ
高岡彩愛 皆さんこんにちは!高岡彩愛です♪今日は、2009年2月、鹿児島の鑑評会で、「海の賜」で受賞された、まるさ食品さんへ行って来ます。
「海の賜」という納豆は、駿河湾の海洋深層水を使っているそうですが、海洋深層水って一体どんなものなのでしょうか。どんなこだわりを持った納豆なのでしょうか?
また、まるさ食品さんでは、噂によるとテンペも作られているそうで、納豆工場でテンペを作るのは技術的にもかなり難しいと聞いているので、そのあたりもお伺いしてみたいと思います。
高岡彩愛
今日も車で取材先へ向かいます♪朝が少し早かったため、ちょっと眠いのですが、いつものようにデジカメで動画の練習をしながら移動しました。
海洋深層水について事前に少し調べましたが、水深2〜300mよりも深いところの海水を海洋深層水というそうです。太陽の光が届かないので、植物プランクトンの光合成がほとんど行われないため、表層水とは違う特性を持っているそうです。なんだか難しいよね(笑)
今日も元気いっぱいで取材頑張ります!

鹿児島で受賞の瞬間
鹿児島で受賞の瞬間

海の賜の大豆
海の賜の大豆

とってもキレイ!
とってもキレイ!

オンマウスで表示される説明文
まるさ食品さんに到着です☆
早速事務所で斎藤社長さんに「海の賜」についてお話を伺いました。

第14回全国納豆鑑評会で、全国納豆協同組合連合会会長賞を受賞 第14回全国納豆鑑評会で、全国納豆協同組合連合会会長賞を受賞
彩愛:こんにちは!鹿児島の鑑評会では「海の賜」の全納連会長賞の受賞、おめでとうございます!

斎藤社長さん:ありがとうございます。

彩愛:「海の賜」って、ネーミングがとっても素敵ですが、特徴を教えていただけますか。

伊豆海洋深層水利活用組合 斎藤社長さん:海の賜は海洋深層水を利用して作っています。うちの納豆作りのコンセプトはとにかく水にこだわることです。大手と同じことをしていたのでは仕方がないので、とにかく良い水を使った商品を作ろうと思ったんです。
この伊東市に来たのだって、水が美味しいからなんですよ。伊東市の水は全国トップクラスなんです。水の博士といわれている小島貞男農学博士によると、水道水の4段階の等級の中で、伊東の水は水の特級に相当するそうです。


彩愛:へぇー!伊東市の水ってすごいんですね。良い水を使った納豆は良いというのはよく聞きますが、伊東の特級の水が使えるなんて素晴らしい環境ですね。ところで、海洋深層水を使って作られた納豆は、他の水を使って作られた納豆とどのように違うのですか?

斎藤社長さん:納豆の臭いが控えめで、ねばりもあるし、硬さも良い感じで、日持ちもするようになりました。

彩愛:なかなか良い効果が出ているんですね。

海洋深層水を汲み上げる工場 斎藤社長さん:うちで使っている海洋深層水はある業者さんと提携していて、水深800mからパイプを使って汲み上げているものが主なんですよ。食品製造に使用する水分や塩分などを海洋深層水に由来するものに替えると、味が風味などが少し違った新しい製品が作れたりするんですよ。海洋深層水はまだ分かっていないこともたくさんあるそうで、期待が持てるし、とても奥が深いんです。

彩愛:へぇー!海洋深層水ってすごいんですね。海洋深層水は納豆作りのどの段階で使われているんですか?

斎藤社長さん:海洋深層水は浸漬の段階から使っています。一口に海洋深層水といっても、淡水とミネラル水をブレンドしたものを使っているんです。淡水は微量のミネラルは入っていますが、基本的には何も入っていないピュアな水です。ミネラル水のほうは塩分以外のミネラルがすべて入っている海洋深層水なので、飲むとすごい味がするんです。これだけでは大豆は煮えないので、これだけでは納豆製造に適さないので、淡水とブレンドするんです。飲み比べ用に3種類準備しましたが、これが淡水です。こちらがミネラル水です。そしてこちらが淡水とミネラル水をブレンドしたものです。ちょっと飲んでみてください。

彩愛:ブレンドされたものは、ちょうどよくミネラルの味がして美味しいですね☆淡水は本当に味がないです!ミネラル水は…う〜ん…ちょっと無理です…苦い〜…ゲホゲホ。

斎藤社長さん:ははは(笑) 海洋深層水を利用しようと考え始めたのは平成13年のことです。この年に伊東市海洋深層水利用研究会が発足したんです。でもこれはすぐに解散してしまい、翌年に伊東市海洋深層水利用組合ができました。これは今でも続いていて、地元のイベントに出たり、勉強会や試食会を開いたりしています。パン屋さんやお惣菜屋さんなど、様々な業界の方が海洋深層水の食品利用で参加しているんですよ。

彩愛:納豆メーカーさんだけでなく、いろいろな業界の方々が海洋深層水を利用した食品作りに取り組んでいらっしゃるんですね。すごく活気があって良いですね!

ピカピカの蒸煮釜2つと、一番右が殺菌消毒専用の釜
ピカピカの蒸煮釜2つと、一番右が殺菌消毒専用の釜
斎藤社長さん:では、お待ちかねの、工場に行って見ましょうか。

彩愛:はーい!楽しみ。うわぁーっ!ピカピカですね!



ピッカピカの蒸煮釜☆ 彩愛:このピカピカなのは蒸煮釜ですね。
斎藤社長さん:はい。蒸煮釜ですよ。これは20数年間使っているものですね。

彩愛:えーっ!すごくきれいで、20数年も使っているようには全然見えないです!!

斎藤社長さん:そうですか?ありがとうございます。毎日丁寧に磨いているからでしょうか。この蒸煮釜はステンレスを使っていますしね。

ピカピカの蒸煮釜と彩愛ちゃん♪
蒸煮釜の真ん中に蒸気の出る穴。それにしても釜はキレイ過ぎる!
彩愛: こんなに間近に蒸煮釜の中まで見るのって初めてです!蒸煮釜ってどのような仕組みなんですか?

斎藤社長さん: 蒸煮釜の真ん中に棒がついていますね。そこの穴から蒸気が出て、下の穴からは空気を抜いているんですよ。これを同時に行うことでまんべんなく大豆を蒸すことが出来るんです。それから、こっちの釜は、蒸煮釜ではないんですよ。器具や部品類をこれに入れて殺菌消毒するんです。

部品の外された盛り込み機 彩愛:殺菌消毒専用の釜ですか!?すごいですね!

部品の外された盛り込み機→

斎藤社長さん:毎日の製造が終わると、盛り込み機の細かい部品類を全てはずして殺菌するんです。こちらの台車や壁や床まで、工場の中のものは全て殺菌するんですよ。殺菌には、熱湯、アルコール、塩素、キクルスDCという殺菌剤、合わせて4種類のもの使い分けています。例えばこの台車は、ホースで塩素を吹きかけた後、熱湯をかけてそのまま乾燥させるんですよ。壁や機械の細かいところにはこのアルコールを薄めたものをスプレーします。アルコールはもちろん人体に害のないものを使用していますよ。

彩愛:ものすごくしっかりと毎日殺菌消毒をされているんですね!

殺菌消毒のために取り外されている部品
殺菌消毒のために取り外されている部品。こちらもピカピカ!
殺菌中の斎藤社長さん 斎藤社長さん:納豆菌とテンペ菌を共存させるためには、このくらい毎日しっかりと殺菌しなければならないんですよ。実はうちは、この納豆作りと同じ製造ラインでテンペも作っているんです。

殺菌消毒中の斎藤社長さん→

彩愛:テンペ!?まるさ食品さんではテンペを作られているということをちらっと聞いていたのですが、それってどんなものなんですか?

斎藤社長さん:インドネシアが発祥の、ハイビスカスの葉に生息するテンペ菌を使って、納豆に似た作り方で作られる大豆食品です。テンペを作るときに納豆菌が残っていたら、ねばねばしたテンペが出来上がってしまうんですよ(笑) 逆の場合も、テンペ菌が悪さをして納豆を作ることができません。ですが、納豆菌とテンペ菌の特性をしっかりと掴んで、うまく住み分けさせることが出来れば、納豆とテンペを同じ機械で製造することは可能なんです。大きな特長としては、テンペ菌は熱に弱く、納豆菌は塩素に弱いんですよ。

彩愛:へぇー!すごいですね!斎藤社長さんは、ものすごくよく研究されていらっしゃるんですね!

醗酵室の制御盤 斎藤社長さん:大学で農学部だったこともあり、原理原則はしっかりしようと思っています。

←醗酵室の制御盤
彩愛:テンペ菌と納豆菌は共存できるんですね。ところでこの小さな装置は何ですか?

斎藤社長さん:この装置は、醗酵室の室温と品温をグラフにして表示させることが出来ます。これをプリントすることも出来るんですよ。醗酵室は2つあって、ファンをまわしたり、風量を5段階に調節することが出来ます。

彩愛:わぁ!こんなちっちゃい機械なのに、いっぱい制御出来ちゃうんですね♪この2本のひもの先についているドライバーみたいなものはなんですか?

斎藤社長さん:これはそれぞれ室温と品温を計るセンサーですよ。このセンサーで温度管理をきちんとすることによって、良い製品を作ることができるんですよ。こちらは冷蔵庫です。うちでは、盛り込み時の時間のばらつきを軽減させるために、盛り込みが済んだら一度冷却させ、それから醗酵を行うんです。その後醗酵を止めるために再び冷蔵庫に入れるんです。

彩愛:なるほど!確かに初めに盛り込まれた納豆と最後に盛り込まれた納豆は、同じ条件ではなくなりますからね。

優秀なプリンター 斎藤社長さん:このプリンターは昨年買ったものなのですが、とても気に入っています。 平仮名、カタカナ、漢字、数字など好きな文字を4段も印刷することができるんですよ。今の時代、お客様は多くの情報を求めているので、たくさん印刷できるのは良いですね。

優秀なプリンター→

彩愛:すごく印刷が早い!インクを噴射して印刷するプリンターなんですね!最近の消費者は、情報を欲しがっているので、色々印刷されていると嬉しいですよね。

斎藤社長さん:そうなんです。また、納豆容器の形を覚えて、その容器のどの部分に何を印刷するのかまでちゃんと記憶するんですよ。

彩愛:優れものですね!

斎藤社長さんが、受賞された海の賜と、伊豆伊東温泉なっとう、彩愛は、海の賜と、フクユタカを使った静岡県産大粒を持って。
斎藤社長さんが、受賞された海の賜と、伊豆伊東温泉なっとう、
彩愛は、海の賜と、フクユタカを使った静岡県産大粒を持って。

アルコールです
アルコールです

こだわり大豆
こだわり大豆

こちらは大粒
こちらは大粒

まさしく粒ぞろい!
まさしく粒ぞろい!

温度センサーだよ
温度センサーだよ

美味しそうだね☆
美味しそうだね☆

テンペのレシピ本
テンペのレシピ本

レシピ本の中身
レシピ本の中身


テンペの急速凍結庫 彩愛:それでは、先ほどの「テンペ」について教えていただけますか。

←テンペの急速凍結庫
斎藤社長さん:テンペは、インドネシアではごく一般的に食べられているものなんですよ。インドネシアに行けば、バナナの皮に包まれたテンペがあちこちで売られています。日本にテンペが知られるようになったのは20年ほど前のことです。納豆の研究でアメリカにいた方が、当時アメリカでベジタリアンの方々の間で流行していたテンペを知り、日本に持ち帰ったのがきっかけのようですね。当時はテンペというものが全く知られていなかったので、「テンペ納豆」と呼ばれていたようですね。

彩愛:テンペ納豆!すごーい!

当時の新聞 斎藤社長さん:その時に納豆業界の多くの方がテンペを手がけたのですが、ほとんど全員が1年程度でやめてしまいました。納豆菌とテンペ菌を一緒に扱うことは難しいことだし、今のように冷蔵の輸送車がなかったので、地元のみでの販売になってしまったことも一因だと思います。

彩愛:これが当時の新聞記事ですね。「臭わない納豆」とか、「糸引かず臭いなし」とか「テンペに熱い視線」とか、おもしろーい!当時は青い色のコピーだったんですね!珍しい!

おいしそう! 斎藤社長さん:こちらはテンペを揚げたものです。食べてみてください。インドネシア産の塩と、普通の日本の塩と、それからこちらはインドネシア産のタバスコみたいなものです。テンペはいろいろな食べ方が楽しめる食品なので、どういう食べ方が美味しいか、いろいろ研究してみてください。

←揚げたてのテンペ。美味しかったです♪
彩愛:わーい♪初テンペだーい!ありがとうございます!頂きまーす! …甘ーい香りで、大豆の風味がしっかり感じられてすごく美味しいですっ☆テンペってどのくらい日持ちするんですか?

斎藤社長さん:急速冷凍機を使って冷凍したものなら半年以上持ちますよ。一年以上置いておいたらぼそぼそするかもね(笑)

彩愛:かなり長持ちするんですね!テンペにもやっぱりこだわりの大豆というものはあるんですか?このテンペはとっても美味しいのですが、どんな大豆なんでしょうか?

斎藤社長さん:秋田県のリュウホウという大豆を使用しています。多くの大豆で試作してみたのですが、このリュウホウはやっぱり美味しいですね。テンペは本当に納豆とほとんど同じ作り方なんです。うちでは同じラインで製造していますからね。テンペは醗酵室に入れたままの形に出来上がるので、酸素の通りを良くするために穴の開いた袋で醗酵させます。発酵が済むと、製品用の袋に入れ替えて、真空パックします。発酵用の袋は今研究中で、いろいろな会社から醗酵に向いた袋を取り寄せているところです。

彩愛:なるほどー。テンペについてもたくさんの研究をされているんですね。このテンペは1個いくらくらいで売られているんですか?

斎藤社長さん:大きい方が500グラムで900円、小さい方が250グラムで500円で売っています。250グラムの方は保存が利くように内袋をしているのですが、500グラムの方は主に業務用に販売しているので、使いやすいように内袋はしていません。

良いにおい♪ 彩愛:業務用と一般用とでそれぞれ商品作りが違うんですね。テンペ菌というのはどのようなものですか?

ほのかな甘い香りがします☆→

斎藤社長さん:テンペ菌とは、ハイビスカスの葉にいる糸状菌の仲間の菌のことです。うちではインドネシアから輸入したテンペ菌を使っています。日本で作ったテンペ菌よりも、インドネシア産のテンペ菌の方が断然旨味があるんですよ。

彩愛:ハイビスカスの葉にテンペ菌。納豆菌は藁ですね。

斎藤社長さん:今は20年前と違って、保存方法も確立しているし、豆乳などの健康ブームもしっかり根付いているので、テンペの流行の波がもう一度やってくると思っています。

彩愛:そうですね!美味しいし健康にも良くて保存もできて、テンペブーム再来の予感がします☆これからも美味しい納豆とテンペを作り続けてくださいね♪ありがとうございました!

写真左が500グラムの業務用、右が250グラムのテンペ。
写真左が500グラムの業務用、右が250グラムのテンペ。
まるさ食品さんの前で斎藤社長さんと一緒に☆ まるさ食品さんは、とにかく工場内がきれいなことが印象的でした。絶対にきれいにするんだという意気込みがひしひしと感じられるようなピカピカっぷりや、殺菌に対するこだわりがとても素晴らしかったです。

特に蒸煮釜は、20数年も経っているとは思えないほどの、驚きのキレイさでした☆こんなにピカピカな工場で作られる納豆やテンペは、菌が共存できるというだけでなく、絶対に美味しいものになるんだろうなぁと確信しました。

海洋深層水のお話も面白かったです!今まで海洋深層水については「健康に良さそう」ということくらいしか知らなかったので、納豆にも海洋深層水を使った新たな取り組みをされていることが新鮮でした。伊東市では海洋深層水を食品に利用しようと多くの業者さんが参加されていることも素晴らしいですね。

また、斎藤社長さんはテンペに関してとてもよく研究されていて、テンペについてたくさん教えていただけたことが嬉しかったです♪インドネシアのテンペや、アメリカの大豆畑の写真なども、とても興味深かったです。斎藤社長さんの熱い熱いテンペ物語で、テンペが大好きになってしまった彩愛でした!

有限会社まるさ食品
〒414-0054
静岡県伊東市鎌田1021-1
TEL 0557-37-5758 / FAX 0557-37-5208 

高岡彩愛
斎藤社長さんは、まさに研究者。納豆作りやテンペ作りに関してすごく研究をされていて、多くの知識やノウハウを持たれています。彩愛はすごいなぁと感心してばっかり!初めて学んだこともたくさんあったので、彩愛はまた少し納豆に詳しくなってしまいました☆

また、今回の取材でテンペという食品を初めて知り、とても驚きました!美味しいし、健康的だし、彩愛はとてもテンペに惹かれてしまいました!納豆メーカーさんもテンペを手がけられたらいいのになぁ。だって、蒸煮釜や醗酵室や冷蔵庫など、同じラインが使えるんですものね。

斎藤社長さんには、たくさんの新しいことを学ばせていただいて、とても勉強になった一日でした。これからもいろいろ教えてくださいね☆

納豆文化村:高岡彩愛

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