−納豆は、食を彩る 主人公− >


第21回気仙沼大会《ダイジェスト版》
宮城県気仙沼市に194点が大集結。
第21回審査結果
日本一は愛知県の山下食品さん。

No90 20th鑑評会当日。早食い大会、納豆食堂、ねば〜る君!
No89 20th鑑評会前日。偕楽園に水戸黄門像。納豆記念碑にねばり丼。
No70 世界最小の納豆屋
毎日12個は至高の12個

No.164 ショートケーキ風ミニタルト
カラフルで可愛く出来ました☆
No.133 生ハムと黒豆のカナッペ
黒豆納豆が見事にマッチ!
No.117 シュー納豆
ブルーベリーと黒豆が絶妙☆












気まぐれ絵日記
「りつまめ」に託す京北活性化

折原繭子 皆さん、こんにちは。折原繭子です。2013年2月22日に宇都宮で行われた、第18回全国納豆鑑評会で、森口加工食品さんの「りつまめ納豆」が農林水産省食料産業局長賞(大粒・中粒部門)を受賞されました。

文化村の受賞者インタビューにも福三田社長さんのお話が出ていますが、「りつまめ納豆」は立命館大学の産業社会学部の学生さんたちと共同開発をした納豆なのですが、そもそも京都は納豆の発祥の地なので、それをもっと全国にアピールしていきたいという事から、共同開発に至ったそうなんです。

そこで、産学民共同で開発された意義深い「りつまめ納豆」とはどのようないきさつや背景で作られたのかを探りに京都へ行くことになりました。


森口加工食品さん
森口加工食品さんで「りつまめ納豆」を持って。

玄関の前で4ショット 予定通り、10時半に森口加工食品さんに到着です。青いハッピは福三田社長さん、背広の江阪部長さん、赤いハッピは立命館大学産業社会学部の山田さんです。

折原繭子:鑑評会で受賞された「りつまめ納豆」が、産学民共同で作られたという事で、いろいろ教えてください。今日はよろしくお願いします。
江阪部長さん:東京を今朝出てきたんですか。車で5時間半ね。お疲れ様でしたね。では2階へ上がっていろいろお話しましょうか。

りつまめ納豆 繭子:「りつまめ納豆」は立命館大学の「りつ」と大豆の「まめ」をかけて作られたんですね。ひらがなでインパクトありますね。

江阪部長さん:そうなんです。学生のみなさんがいろいろと考えてくれたようで、隣の赤いハッピを着た立命館大学の山田君が名付け親なんですよ。

山田さん:この名前はふとした瞬間に「これだ!」と閃いたんですが、閃いた瞬間を今でもよく覚えています。 企画会議で「りつまめ」と決まるまで、いろいろな意見が出ました。「納豆を食べるのは国民の義務」などというインパクトのある名前も出たりしましたよ。

繭子:へぇー、じゃあ、鑑評会で森口さんの受賞納豆が「納豆を食べるのは国民の義務」っていう可能性もあったんですね(笑)

3本の幟
3本の幟

福三田社長
福三田社長

繭子
繭子

納豆のお話
納豆のお話

森口さんの納豆
森口さんの納豆

お茶を買って
お茶を買って


繭子:ところで、なぜ森口加工食品さんと立命館大学が協力して納豆を作られるようになったのですか。
江阪部長さん:まず、京都の京北地域を活性化させようという事が始まりでね、地元京北で納豆フォーラムなんかをやってきたんですよ。

繭子:納豆フォーラムですか。納豆についてみんなで語り合おう、議論しようという場が最初にあったのですね。
江阪部長さん:そう、そこで京北は納豆発祥の地であるという事から、京北を活性化させるには納豆はとてもいいじゃないかという発想があって納豆が作られるようになったんです。

繭子:納豆を実際に作って行こうとし始めたのはいつごろですか?
福三田社長さん:森口加工食品と立命館大学が協力して納豆を作ろうと決めてから、本格的に活動が始まったのは2011年の5月くらいかな。企画会議や夏休みなどを使ってたくさんの話し合いを重ねて完成させたのが「りつまめ納豆」なんです。山田君も大変だったよね。

繭子:「りつまめ納豆」は受賞された後、何回か試食させていただきましたが、大豆の味がしっかり感じられて、噛みごたえもちょうど良くて、上品な味で、すごく美味しいですね。
お話をお伺いしています
福井田社長さん(青ハッピ)、山田さん(えんじハッピ)、江阪部長さん。

福三田社長さん:そうですか。嬉しいですね。「りつまめ納豆」は硬くもなく柔らかくもない、なんとも言えぬ歯ごたえがが特徴的ですね。噛み締めたらふわりと広がる上品な香ばしさを理想としていつも考えています。
繭子:「りつまめ納豆」のように上品に作り上げるコツというかこだわりは何ですか?
福三田社長さん:納豆を作る時のこだわりねぇ。まず「色とにおい」を大切にしているので、それをしっかり見る事でしょうね。ですから発酵室から出すタイミングは重要ですね。
繭子:発酵室から出すタイミングってなかなか難しそうですね。
福三田社長さん:こう考えればいいですよ。例えば、赤ちゃんとお母さんが一緒にお風呂に入っているとします。 お母さんは長風呂が好きで長く入っているけど、赤ちゃんはのぼせますよね。赤ちゃんは喋れないのでゆでダコ状態になってしまうかもしれませんね。 納豆も同じなんです。大豆は喋ることができませんよね。なので「色とにおい」をしっかり見ることが大切なんです。
繭子:納豆職人さんって、お風呂で赤ちゃんを見るお母さんのような存在なのですね! すごいです。とてもよくわかります!
満開の桜の前で4ショット
森口加工食品さんの玄関前の満開の桜



大学へ向かいます 立命館大学産業社会学部の山田さんが、大学を案内してくださるという事で車で15分ほど移動です。

桜もちょうど満開。おりしも今日は立命館大学の入学式一日前で、大学近辺は新入生で溢れていました。


繭子:そういえば、りつまめ納豆のパッケージは少し横長で、白地にえんじ色の丸があり、丸の中に同じ色でひらがなの「りつまめ」。シンプルだけどとてもインパクトがありますよね。

山田さん:様々な納豆が並んでいても「あっ、りつまめだ!」とすぐわかってもらえるように工夫しました。 このパッケージのりつまめという文字はミリ単位までこだわっているんですよ。
R
このえんじ色は立命館大学のイメージカラーで良く使われますが、パッケージ右上の「R」の文字はキャンパスグッズやノベルティにはあったものの、市販のもので使われるのは初めての試みなんです。


立命館大学の産業社会学部にお伺いして、准教授の景井先生、高嶋先生にもお話を伺うことができました。

準教授の先生お二人も 繭子:立命館大学の産業社会学部はいつ頃出来たんですか。

景井先生:産業社会学部は1965年の4月に創立されたんです。もうすぐ50年になりますね。

人間と社会に関わる問題や人間福祉や地方の問題など様々な問題を学んでいますが、今回の京北プロジェクトは、NPO法人フロンティア協会と一緒に、さまざまな問題に直面している旧京北町を学びのフィールドとして、産業社会学部が掲げる学びのスタイルを実践するものなんです。


繭子:なかなか高校生の私には内容が難しいですね(笑)その京北プロジェクトは、いつ始まったんですか?

京北プロジェクトポスターの前で 高嶋先生:2008年2月です。立命館大学産業社会学部とフロンティア協会が結んだ包括連携協定をもとに展開されているんです。

繭子:毎年納豆フォーラムを開催されていると聞きましたが。

景井先生:2006年から毎年12月上旬くらいに行っている納豆フォーラムでは、京北プロジェクトの取り組みについて説明や報告をしたり、活性化の展望などについて話し合ったりしています。

毎年納豆の日(7月10日)には納豆フェスタも行っているんですよ。いろいろな広がりが出てきているので、これからもっと京北地域を盛り上げていきたいですね。


繭子:先ほど山田さんから「R」のロゴのお話をお伺いしたのでよく見ると、パッケージの前側に「収益の一部は京北を元気にするための活動に使われる」とあります。

山田さん:そうですね。これは「りつまめ納豆」の売り上げの一部を「福三田・納豆基金」として積み立てて、京北のまちづくりの基金にしようというものです。2011年10月発売から、8万5千個以上売れていて、着実に基金が増えているんです。

繭子:素晴らしいですね、売り上げの一部が京北のまちづくりに生かせるなんて。

「りつまめ納豆」が誕生するまで、納豆フォーラムがあり、京北プロジェクトがあり、納豆フェスタがあり、頭の中でまとめきれないですね(笑)

2010年ごろから「りつまめ納豆」が具体的になってきて、基金の創設にまでなってきた。いろいろな物語があった訳ですね。


繭子:ところで大豆は「オオツル」を使っていますね。

山田さん:そうですね。納豆に使う大豆を決めるときをよく覚えていますが、50人ほど集まって目隠しをして納豆試食会をしましたね。大方の意見が「オオツル」がいいという事で、地元産の国産の中粒を使う事になったんです。

繭子:一つのものが形になるまでには、楽しかったり苦しかったり、いろいろなエピソードがありますね。

これから京北地域へ向かいます。納豆発祥の「古文書」が見られるという常照皇寺(じょうしょうこうじ)。峠越えをして車で40分くらいかかります。今日のお楽しみの一つです。

立命館大学正門にて
立命館大学正門にて

立命館大学の桜
立命館大学の桜

産業社会学部
産業社会学部

産業社会学部
産業社会学部

産業社会学部
産業社会学部


常照皇寺
常照皇寺にて

菊花紋瓦
菊花紋瓦

常照皇寺
常照皇寺にて

常照皇寺
常照皇寺にて

納豆餅
納豆餅

納豆餅
納豆餅

納豆プリン
納豆プリン

上野農園さん大豆畑
上野農園さん大豆畑

上野農園さん大豆畑
上野農園さん大豆畑


常照皇寺 立命館大学から京北の地へ、車で40分の峠越えです。納豆に関する古文書があると言われる常照皇寺は、南北朝時代の光厳法皇が納豆を造ったという伝説が残されている古刹です。

山田さん:常照皇寺に着きましたよ。「りつまめ納豆」の大豆を作った畑は上野農園さんですが、上野さんと待ち合わせをしてるんですよ。

菊花紋瓦 繭子:上野さん、こんにちは。常照皇寺ってすごく雰囲気のあるお寺ですね。

上野さん:常照皇寺は桜の名所でね。あと一週間遅いくらいが満開かな。観光バスも来るくらい桜が奇麗なお寺なんですよ。

繭子:このお寺に納豆の古文書があるんですね。

山田さん:そうですね。この常照皇寺に納豆に関する古文書があるんだけど、見せてもらえるかな。あー本堂が閉まっていて難しそう。

到着時間が少し遅くて本堂が閉まっていました。古文書が見られなくて残念でしたが、光厳法皇の生涯が描かれた絵巻物に、藁に包まれた納豆が描かれているそうです。

山田さん:では次は納豆餅を食べに、京北のレストランに行って見ましょう。

繭子:えーっ、納豆餅ですか!楽しみ〜♪

山田さん、上野さんと、和風レストラン「けいほく」さんへお邪魔しました。「けいほく」さんでは田尻さんと大前さんが楽しく出迎えてくださいました。
田尻さん:わざわざ東京から! 納豆文化村で取材でねー。このあたりは納豆の文化が昔からあるんだよ。まず納豆プリンを出しましょうか。
繭子:ぅわー納豆プリン♪ あっ美味しいー! プリンの深い味わいの中に、納豆の風味が優しくふわっと広がりますね〜!

田尻さん:そうでしょう!この納豆プリンは地元でとれた卵と納豆をつぶして牛乳を混ぜて作っているんです。甘さがあって、納豆の味もふんわりと感じられるよう、こだわって手作りしています。やみつきになる美味しさですよね。それでは次は納豆餅を出しましょうか。

レストラン 繭子:わーい、納豆餅ぃ! どんなのが来るかなー、楽しみ〜♪
田尻さん:この納豆餅はお餅を炭火で焼いて香ばしさを出した後、味付けした納豆を包んで食べるという珍しい納豆餅なんですよ。
繭子:納豆餅!香りがとても香ばしいですね!
田尻さん:お塩を付けて食べる納豆餅は、お餅と納豆の味の調和でより香ばしさが感じられ、日本の味を味わえます。

こちらの納豆餅は納豆をロールケーキのようにお餅で包んで、甘いお醤油ときな粉をかけたものです。食べた瞬間、上品な甘い味が広がり、もちもちしていてスイーツみたいでしょ。

納豆を普通に食べるのではなく、お餅との組み合わせで食べるとまた違った楽しみ方が出来るし、いろいろな味も 楽しめますね。

りつまめ納豆を作るだけでなく、すでに京北の地でいろいろな交流がプロジェクトとして始まっています。多くの人がかかわる事によって、多様な可能性が生み出され、地域像がより鮮明になって行くのでしょうね。

山田さん:上野農園さんの畑を見に行きましょうか。昨年は4反半の作付で200kg程の大豆を収穫したんですよ。

3500平米の広い畑
3500平米の広い畑

上野農園さんの広〜い大豆畑。これからは京北の他の生産農家の皆さんも大豆の生産に協力してくれるようです。京北プロジェクトの納豆の輪は着実に広がりを見せていますね。
京北プロジェクト頑張るぞー!
京北地域を盛り上げるぞー!

常照皇寺にて 【 取材の一日 】

「りつまめ納豆」のルーツを追って、 由緒ある常照皇寺を訪問し、京北の納豆発祥伝説の端緒に触れる事が出来ました。

2006年に納豆フォーラムが始まりました。京北地域が納豆発祥の有力な地である事から京北を「納豆の里」にしようと、京北地域の活性化などについて多くの関係者が議論する場になっています。

また2008年に始まった京北プロジェクトは、単なる社会貢献ではなく、地域と連携した活動になってこそ始めて大きな意義を持つという事を踏まえて、地域の活性化デザインをし、さらにそれを高度化させて行こうとの壮大なプロジェクトです。

今までのような一方的な貢献ではなく、社会の中に溶け込んで連携した場からの、大学としての研究と学びこそが、本当の意義を持つのではないかという先生方のお話は、とても深いし感動しました。

地域に根ざして一緒になって連携して活動をする事こそ、産業社会学部としての本来の姿なんだなと感じさせられました。 折原繭子写真館 とても素晴らしいですね。

今回の「りつまめ納豆」の取材で、単なる産学民共同と言うに留まらない、本来の意味での地域活性化や社会貢献を大いに学びました。有意義で素敵な壮大な物語りに心を揺さぶられました。

上のQRコードのスマホ写真館は、スマートフォン専用です。携帯等ではフリック操作が出来なかったり正しく表示されません。
スタッフ名
【 取材を終えて 】

京北のレストラン「けいほく」さんでは、納豆への愛情、京北活性化への意気込みが熱く語られました。皆さんとても元気で、明るくて、気さくで、楽しくて、とてもハッピーでした♪

京北活性化の息吹きは心洗われる風景の中からも、ふつふつと湧き出ていました。

地域を活性化させようとの新たな試みから生まれた「りつまめ納豆」が形になり、地域の中に浸透して根付き、動き始めている感じがすごくしています。

人々や地域の関係を大切にするのはとても難しいことなのに、それを作り上げて、さらに一段と盛り上げようという意気込みがしっかりと伝わってきました。

これからも、もっともっと「りつまめ」の「心のハッピ」を着る人々の輪が大きく広がり、より一層気運が高まることを期待しています。

これから先が楽しみでもあり、是非とも大成功してもらいたいですね。 「りつまめ納豆」の大いなる飛躍を願ってやみません。

納豆文化村:折原繭子
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