●納親会会長賞(小粒・極小粒部門)
有限会社山重食品(大阪府)/「米ザワ納豆小粒」 電話インタビュー:代表取締役 山本公一さん
真紀子:山重食品さんは初受賞ですね!おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか?
山本さん:戸惑いましたね。中国産で安価だし、特にプレミアムがついている製品ではないですからね。
真紀子:一般の価格帯の商品なんですね。でも受賞されるのですからすごい事です。山本さんの納豆へのこだわりを教えてください。
山本さん:そうですね。良い納豆の基準は、普通に作ってお客さんが食べて普通においしいと言われる事だと思います。
今日はおいしかったけど明日はおいしくないという納豆をつくっていては意味がないですからね。一定のおいいさを保たなければいけません。毎日の積み重ねが大事でしょうね。
真紀子:一定のレベルをずっと保っていくことって大切なことですね。今回の「米ザワ納豆小粒」は中国産の大豆を使われていますね。
山本さん:はい、中国産と言うと消費者の間で良くないイメージがあると思いますが、実は国産大豆に匹敵するくらいいいものもあるんです。中国産の大豆のなかでもプレミアムなものを使っています。中国産と名がつくだけでスポイルされているような事もあるようですが、中国の大豆は実績があるし、いいですよ!
真紀子:中国大豆を良く知っていらっしゃるから自信がおありなんでしょうね。
山本さん:今回受賞した「米ザワ納豆小粒」は中国大豆を使った価格帯の高くない一般的な商品です。こだわりは特にはありませんが、味はしっかりさせたいです。ベーシックな商品だけれど普通に食べておいしかったら良いという商品ですね。
真紀子:その淡々とした感じで、ベーシックな商品で賞を取られるのだからすごいです。
山本さん:いわゆる毎日の積み重ねが大事ですね。ずっと一定の水準で守っていくことが大切です。
こだわり商品に頑張りすぎると息切れすると思います。最近はアメリカ産大豆にシフトするメーカーが多い中で私たちは中国産で頑張り続けています。
真紀子:息切れしないようにずっと一定の水準を保つ。素敵ですね。これからも頑張ってくkださい。
●納親会会長賞(中粒・大粒部門)
株式会社保谷納豆(東京都)/「国産極大粒 つるの舞」 電話インタビュー:常務取締役 木内茂則さん
真紀子:この度は受賞おめでとうございます。2回目の受賞ですね。
木内さん:はい、第12回受賞以来の2回目ですから、久々にやっと取れたなという感じですね。
真紀子:前回は小粒で受賞されて今回は大粒ですね。「国産極大粒 つるの舞」に使っている大豆と特徴を教えていただけますか。
木内さん:つるの舞は北海道産ゆきほまれの極大粒を使用していて、それが最大の特徴です。二分八上ですから極大粒なんですよ。
真紀子:二分八上?
木内さん:大豆は何分何厘という昔ながらの表現で大きさを表すんですよ。二分八というのは8.5mm。大豆の8.5mmは特別サイズなんですよ。
真紀子:いわゆる尺貫法ですか?難しいです(笑)8.5mmの直径は大きいですね。真珠の8.5mm玉を想像すると大きさが良くわかります。極大粒の納豆ですから、食べ応えがあるでしょうね。
木内さん:二分八以上の大豆と言うと主に豆菓子用や煮物に使われる豆くらい大きいんです。
真紀子:わぁすごい。保谷納豆さんは炭火造りで有名ですね。
木内さん:よく知ってますね。保谷納豆の製造上の特徴は、その炭火造りなんです。発酵の途中で発酵室の中を一度炭火により二酸化炭素を充満させると、それにより納豆菌の活動が一度止まるんです。
真紀子:二酸化炭素を充満させて納豆菌の活動を止めたあと?
木内さん:大体分かっていると思いますが、その後に一気に酸素を入れることによって納豆菌がパワフルに活動しはじめるんです。納豆菌がパワフルに活動を再開することを応用しているのが我社の炭火造りで、これにより納豆がより美味しくなるんです。
真紀子:炭火造りすごいです!これからも頑張ってください。
●東北農政局長賞(小粒・極小粒部門)
有限会社矢萩食品(山形県)/「カップはと納豆」 電話インタビュー:代表取締役 矢萩鉱一さん
真紀子:今回で2度目の受賞になりましたね。おめでとうございます。
矢萩さん:はい、第12回のときにも山形県知事賞をもらっていますが、今回は東北農政局長賞なので意味合いが大きくなって嬉しいです。おまけにカップはと納豆は県内のどこのスーパーでも扱っている一般的な商品なんですが、それで受賞出来たのでなおさら嬉しいですね。
真紀子:今回カップはと納豆に使われた大豆はなんですか。
矢萩さん:原料である大豆は北海道のすず丸です。すず丸は味がまろやかに仕上がるし糸引きも強いので良い仕上がりになります。
真紀子:味がまろやかで糸引きが強く仕上がるって良い納豆ですね。
矢萩さん:今回は新穀で作りたかったんですが大豆が間に合わず、旧穀で作ったのでどうかなと不安だったんですが、受賞できてうれしいです。業者さんとカップ納豆の話をした時に、カップはやはり難しいねという話をしていたんですが受賞できて嬉しかったです。
真紀子:18日の土曜日に会社にお電話しましたが御留守でしたが。
矢萩さん:今回の鑑評会は納豆組合の総務会の旅行も兼ねていて、鑑評会後にで盛岡や平泉に行ったりしたんです。
真紀子:受賞後の旅行でしたのでより良かったですね。これからもご活躍をお祈りしております。
●東北農政局長賞(中粒・大粒部門)
株式会社ヤマダフーズ(秋田県)/「ふっくら大粒」 電話インタビュー:食品開発研究所所長 新保 守さん
真紀子:この度は受賞おめでとうございます。初受賞ですね。
新保さん:はい、ありがとうございます。社内でプロジェクトを立ち上げ、鑑評会で入賞できるおいしい納豆の製造方法を、化学的に、そして微生物学的にも解明していきました。
真紀子:すごいですね!プロジェクトチームでは具体的にどのような事をされましたか?
新保さん:この大豆を使うと固定しないで、いろいろな大豆で試行錯誤しながらいい納豆を追ってきました。今までの常識や製造現場からの観点に固執しないで試してきたので、新しい発見もありました。いくつもの条件の中から最適な条件を最終的にセレクトして出品しましたので、今回は必ず入賞できると確信しておりました。
真紀子:素晴らしいですね。どうしても過去の常識や習慣から脱しきれないものだと思いますが、いろいろな新しいチャレンジもされたのでしょうね。
新保さん:山田社長は4〜50年もの積み重ねの経験があるので、それらの経験をもう一度細かい条件に分けて検証しました。「ふっくら大粒」にたどり着くまで、どういう条件だといい納豆に仕上がるのか、ふっくらと美味しい納豆に仕上がるのはどういう組み合わせかなどを徹底的に検証しました。
真紀子:具体的にはどのような事をされましたか?
新保さん:主には大豆の選別、浸漬、蒸煮、発酵等の条件を組み合わせて科学的に検証しました。
真紀子:科学的な試行錯誤ですから当然、勘ではなく数字での評価をされるのですね。たとえば?
新保さん:ふっくらという事を追求するために硬度を測定しました。具体的には80、70、50と数値が下がるにつれ柔らくなるのですが、硬度を調べていくと、煮豆の硬度と、納豆になった時の硬度が条件によって違ってくる事もわかりました。
真紀子:その様な数字として分析された積み重ねは、大きな財産ですね
新保さん:新しい発見がたくさんありました。積み上げてきたノウハウは当然工場にフィードバックし、いつも確実に安定的にいい納豆を出せるようにして行こうと思っています。我々は再現性を重要視しています。つまりいつも高いレベルの納豆を安定して出していきたいとの思いが強いんです。
真紀子:同じ要素や要因を条件として整えていくと、同じような高いレベルの納豆になる、なるほどです。日々積み重ねられてきたそれらの結果が今回の受賞に結びつきましたね。
新保さん:どのようにすれば、お客様に対して我々の思う美味しい納豆が提供できるのか、今回のプロジェクトで財産として得られた気がします。それに、今回の審査に当たった審査員の方々の多数派意見として、発酵の熟度が重要ポイントとであることがわかりましたので、この点をさらに改良して上位入賞を目指していきたいと思います。
真紀子:今回の受賞を機に、より美味しい納豆を市場に送り出していってください。
●青森県知事賞
太子食品工業株式会社(青森県)/「国産極小粒納豆」 会場インタビュー:代表取締役 工藤茂雄さん
真紀子:受賞おめでとうございます。第7回に続いて2度目の受賞ですね。
工藤さん:嬉しいけど悔しさもあります。審査員もやりましたが、皆さん実力は紙一重でレベルが高いですね。
真紀子:今回受賞された「国産極小粒納豆」の特長を教えてください。
工藤さん:東北産の良質な大豆を厳選し、奥入瀬の伏流水を使った、こだわりの納豆です。
東北育ちシリーズと名付けていますが、納豆本来の美味しさを最大限に引き出した納豆です。東北のお客様に東北の味をきちんとお届けしたいという思いから作り上げた納豆で、程良い歯ごたえがあり、大豆本来の旨みを引き出しています。
真紀子:東北育ちシリーズというブランドなんですね。使われている大豆は何ですか?
工藤さん:地元青森県と秋田県の極小粒の大豆を使っています。
真紀子:味わい豊かな大豆なのでしょうね。今回は地元青森での開催と言う事でいろいろご苦労があったと思います。
工藤さん:今回審査員には、奇跡のリンゴで有名な木村秋則さんや、ウクライナでの大豆づくりに挑戦した木村慎ーさんなど多彩な顔触れの方々に来ていただき話題になりました。
真紀子:青森鑑評会も大成功でしたし、受賞もされておめでとうございました。。
●永山久夫賞(小粒・極小粒部門)
内藤食品工業株式会社(北海道)/「健康へのかけはし納豆」 電話インタビュー:代表取締役 内藤孝幸さん
真紀子:受賞おめでとうございます。
内藤さん:今回は三部門だしました。二年前には大粒のおらが街納豆で農林水産大臣賞を取ったんです。
今回のこの健康へのかけはし納豆の大豆は小粒がなかったので極小で出しました。
真紀子:昨年ダブル受賞されているので3年連続です。3年間で4つ受賞されて、今回が8回目の受賞となりました。すごいです。
内藤さん:いやまあ、いつも通りに作っただけですからね。納豆を作る時には大豆の美味しさをきちんと出していくようにいつも心がけています。
真紀子:今回の「健康へのかけはし納豆」の特徴を教えてください。
内藤さん:この納豆の特徴は柔らかめで食べやすいところですね。納豆は気候によって変化しやすいと思います。いつもと見た目は変わらないのに、炊き上がりなどを見ると柔らかそうなので、食べてみると固かったりするんです。今年は寒さが厳しいから、それが影響しているんでしょう。話は変わるけど、今回農林水産大臣賞を取った豆蔵の本間さんは大豆博士なんですよ。
真紀子:本間さんとは先ほどお電話で受賞インタビューをしたんですが、つるの子大豆についてすごくたくさん教わりました!
内藤さん:そうでしょ。豆蔵さんも我々と同じ「美味しい納豆をつくる会」のメンバーだけど、いろいろと教えてくれますよ。
真紀子:これからも頑張ってください。おいしい納豆を期待しています。
●永山久夫賞(中粒・大粒部門)
有限会社阿部納豆店(長野県)/「まつもとの大豆で作った納豆 大粒」 電話インタビュー:代表取締役 阿部久雄さん
真紀子:今回は長野県産小粒納豆ミニも受賞されて、ダブル受賞でしたね。
阿部さん:小粒はあまり自信がなかったけど、大粒はまあまあかなって感じていましたから入賞するとは思っていませんでしたがそれなりに良い評価が頂けると良いなって考えていました。
真紀子:「まつもとの大豆で作った納豆 大粒」の特長を教えてください。
阿部さん:私の会社で使っている原料大豆は100%国産ですが、現在95%以上が長野県産なんです。長野県産大豆を使ってよい納豆を作るのが今の私の役割だと思っていますが、今回はいい仕上がりの納豆になりました。そこそこの弾力感やもっちり感が出せたと思っています。
真紀子:この納豆に使われている大豆は何ですか?
阿部さん:つぶほまれという大豆です。つぶほまれは長野県の大豆全体からすると8%くらいしか栽培されていないんですが、ナカセンナリやタチナガハと比較すると味、食感、色合いのバランスがとても良い大豆だと思っています。
真紀子:国産100%の大豆を使われて、95%以上が長野県産ってとても素敵ですね。これからも地元の大豆を使ったいい納豆を作り続けてください。ダブル受賞本当におめでとうございました。
●全国納豆協同組合連合会長賞(ひきわり部門)
株式会社せんだい(山梨県)/「国産大豆ひきわり」 電話インタビュー:常務取締役 伊藤英文さん
真紀子:受賞おめでとうございます。5回目の受賞ですね。しかも3年連続の受賞となりました。
伊藤さん:そうなんですね。今回ひきわりで受賞出来て、方向性が評価されて良かったです。
真紀子:方向性とは納豆の作り方ですね。
伊藤さん:ひきわりは蒸煮しすぎると色がつきやすくなっちゃうんです。そうではなく豆色が白く仕上がるようにしています。そうすると見た目も品の良い感じになっていいんです。引きわり納豆のくせを抑えて大豆の味がしっかりでるように心がけています。
真紀子:「国産大豆ひきわり」に使われた大豆は何ですか?
伊藤さん:北海道のゆきほまれを使用しています。大豆本来の甘みが感じられるいい大豆ですよ。
真紀子:「国産大豆ひきわり」の納豆としての特長は?
伊藤さん:大豆の引き割り方にもメーカーさんの主張が出ると思いますが、それよりも最終的には、納豆のクセを出すのが良いのか、品よく仕上げるのかどちらが良いのかだと思いますよ。糸のひき方やくせをだす方が良いのかなども考えましたが、今風に仕上げています。
真紀子:白っぽい品の良い感じの納豆で味がしっかりしているっていいですね。これからも期待しています。頑張ってください。
●Red River Valley U.S. Award(アメリカ大豆部門)
マルキン食品株式会社(熊本県)/「元気納豆カップしそのりたれ付」 会場インタビュー:代表取締役会長 吉良元雄さん
真紀子:「元気納豆カップしそのりたれ付」での受賞、おめでとうございます。
吉良さん:久々に賞が取れて安心しましたね。
真紀子:8回目の受賞ですが、今回はアメリカ大豆での受賞ですね。
吉良さん:アメリカ大豆は出来が良いんですよ。昔は中国産の大豆が勝っていましたが、今はもっぱらアメリカ大豆ですね。
真紀子:美味しい納豆を作る秘訣は何でしょうか?
吉良さん:製品の出来具合を見るために私は毎週試食していますよ。工場から持ってきたものと、実際に売っている店から持ってきたものを試食するんです。
真紀子:工場からの出来立てと店頭からの納豆を用意するんですか?
吉良さん:そうです、納豆は日々味が変化しますからね。工場から出荷したばかりの納豆は少し発酵が若い状態で、お客様の口に入る時に一番いい状態にする必要があるんです。
真紀子:確かに消費者にとっては一番美味しい状態が嬉しいですからね。
吉良さん:一日一日の気温や湿度で納豆の味は変わっていきます。厳密には鑑評会場でも味は変化していきますからね。
真紀子:ものすごく繊細で微妙なんですね。鑑評会の日程や当日の天候に合わせて、出展する納豆をいつどのように出すか等の話も聞いたことがあります。
吉良さん:そうでしょう。だから毎週試食をしているといろいろなことが分かっていいんです。
真紀子:農林水産大臣賞3回を含んでの8回目の受賞は素晴らしい実力です。これからの益々のご発展をお祈りしています。
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