−納豆は、食を彩る 主人公− >


第21回気仙沼大会《ダイジェスト版》
宮城県気仙沼市に194点が大集結。
第21回審査結果
日本一は愛知県の山下食品さん。

No90 20th鑑評会当日。早食い大会、納豆食堂、ねば〜る君!
No89 20th鑑評会前日。偕楽園に水戸黄門像。納豆記念碑にねばり丼。
No70 世界最小の納豆屋
毎日12個は至高の12個

No.164 ショートケーキ風ミニタルト
カラフルで可愛く出来ました☆
No.133 生ハムと黒豆のカナッペ
黒豆納豆が見事にマッチ!
No.117 シュー納豆
ブルーベリーと黒豆が絶妙☆













第8回全国納豆鑑評会 長野大会 2月14日
ホテルメトロポリタン長野
レポーター:椎名彩乃(納豆文化村)

審査会場ものすごい冷気が体を包んだ長野市の朝。昨日と違い、強い風はないけれど、気温はずっと低いはず。
会場は長野駅と隣接しているホテルメトロポリタンの浅間の間。とっても広い会場には ずらーと小粒・大粒が陳列されていました。参加社は最終的には120社。各社一点、自社ブランドのもの限定、120点。詳しく分けると小粒52点、大粒68点エントリーされていました。少し大粒のほうが多いようですが、今年の鑑評会は一体どんな模様になるのでしょうか。それでは彩乃の鑑評会レポートスタートです。

外観チェック ■審査会場■
今年は審査員の審査方法に注目してみました。
審査員は25名。同じものを審査しているのに皆さん審査方法が違うんです。
こんなに違うものなのか!!って驚いちゃいますよ!
★1次審査開始です★

☆納豆の外観審査☆
外観チェック2斜め、横、縦に、さらに皿を手にとって眺める方
上のほうから発酵具合を眺めている方
納豆をくずして中の発酵具合を確かめている方
自分の皿に一度2、3粒納豆をおき、縦横斜めで細かく審査されている方

☆糸ひき審査☆

納豆を持ち上げて納豆が落ちていく様を眺める方
食べてから箸についている糸をくるくる回す方
ビヨーン 糸ひき審査 食べる前に納豆を箸でつかんで、上下に動かす方
箸についている糸をチェックする方
また、まわすのを楽しんでいる、微笑みながらまわしている方も♪本当に納豆が好きでなくてはこんな表情にはなりませんよね。


☆香り審査☆遠くから、納豆に鼻を近づけることなく香りを楽しむ方
直接背中を曲げて、机の上に載った納豆に鼻が付かんばかりに近づけている方
永山先生 腰を曲げて口に含んでから、鼻をヒクヒクさせている方(笑)
食べ終わった箸のにおいをかいでいる方
香りを審査するだけなのにこんなに審査方法が違うなんて、びっくりしてしまいました。会場に行かなくては分からないことがたくさんあるんだな…としみじみ感じたひと時でした。


☆味の審査☆一粒の納豆をカミカミする方
スタンダードに西条さん3、4粒で召し上がる方
普段の食事と変わらないほどたくさん口にほうばる方
中には、香りだけで味がわかるから(驚)と、ほとんど召し上がらなかった方もいました。
また大きな違いとして食べる前に納豆をチェックする方、食べた後にチェックするで分けることが出来ました。でもどちらかというと前者のほうが多かったかな。
審査会場の脇では、水や箸、皿がたくさん用意されていました。こんなにたくさんの箸!!と思って審査員の方を見たら、なんと、箸を代えながら審査している方がいました。
審査 また面白い光景を目にしました! 似た味が隣同士であったらしくまた前の納豆に戻って審査をするが!やはり審査が難しいくらい、それだけどれも美味しいということですよね♪


高星会長 長谷川先生☆採点☆
採点もみなさん個性にあふれていました!
直感的に採点している方
じっくり考えながら審査する人
外観・香・味全てバラバラに採点して合計点を出している方
何度も何度も採点を書き直し、悩んでいる方
審査にはボールペンを使うのかと思っていましたが、意外なことに鉛筆やシャープペンを使っていました。そして机の上にはたくさんの消しゴム。それだけ審査が難しいということですね。


お皿☆皿☆
お皿を見てみると、一皿に二つ載っている皿、三つ、四つとのっている皿がありました。なんでかな??と理由を伺ってみると、理由は簡単、量が多いか少ないか。
基本は「右表ヤマネコ」表と裏の二つ(発酵の具合を見るため)をのせることとなっているのですが、量の少ないものは三つ、四つのせているそうです。

★1次審査終了。プレスルームで鑑評会についての説明★

プレスルームにて ■プレスルームにて■
右からPR担当の岡崎さん、笹沼さん。青年同友会のマスコミ担当の斎藤さん、南都さん。マイクを持っているのが黒田専務理事さん。また手前の席で、諸項目を随時担当してくれたのが、株式会社IMP代表取締役の一美さん。
一次審査終了後、プレスルームにて審査中についての注意やフォーマットの説明、全国納豆鑑評会の趣旨などを説明してくださいました。
大きな約束事として、
1、一企業一点、自社製造・自社ブランドのもの
2、既に市販されているもの
3、一度出品したものは、たとえ審査前でも交換もしくは返品は出来ない。
黒田専務 4、違反したら、審査対象外とする
5、もちろん審査後に違反が発覚したものは失格とする。
6、表記は5年間のみ
大きなものとしてこの六点が挙げられていました。

司会進行は黒田専務理事→

審査は5点法で行い、優良なものを5点とします。
@外観(見た目)…大豆表面の納豆菌の増殖状況/納豆の色/割れ、つぶれの多少/糸引きの状態
A香…アンモニア臭・こげ臭・酸臭・その他異臭の有無/納豆らしい香り
B食感…納豆の硬軟/旨み/甘味/異味等の有無
でも規定してこれが一番いい香り、いい食感とは決めていないそうです。「審査員の味覚や食感に審査基準はゆだねている。個人として美味しい納豆を決めて欲しい」と高星会長。私なんだか感動してしまいました。やっぱり全国納豆鑑評会ってすごいですね。 斎藤さん


次に納豆業界の概況
続いて斎藤さんが納豆業界の概況を報告してくださいました。とっても沢山の情報を提供・説明してくださったのですが、ここでは書ききれないので、彩乃が簡単にまとめさせていただきます。

マスコミ担当 斎藤委員→

納豆業界は98年以来マーケットは順調に右肩上がり。BSEなどの問題などから、肉の代替として安全で安価な蛋白源、納豆が注目されたこと。マスメディアの報道などで「納豆食」=「健康」が広く浸透したことによって納豆への注目度が高まったことが要因として考えられるそうです。

次に消費量。皆さんは一年間の一世帯あたりの納豆消費金額をご存知ですか?平成14年度の平均はは過去最高の4、172円だったそうです。過去最高!っというのがなんとも彩乃は嬉しいのですが、この金額がもっともっと伸びていって欲しいですね!だって納豆はすばらしい栄養食品ですよ!

プレス それでは問題です。全国47都道府県の中で14年度の納豆消費金額が高いベスト5はどこでしょうか。
答えは納豆といえば水戸、ということで堂々の1位茨城県、2位は去年は一位だった福島県。続いて宮城県、4位に栃木県。5位に今回、鑑評会を開催している長野県。ついでに長野県は男性はNO.1、女性はNO.3の長寿県なんですよ。自然あふれる良い環境と納豆で皆さん元気なんですね。65歳以上の就業率は36.1%でダントツでいいらしいです。
全体をまとめてみると東北地方はベスト10に6県すべて入ってしまうほど納豆好き!すばらしい!!でも消費量の伸び率は一位長崎、続いて高知、島根、三重、大阪と九州、関西地方もぐんぐん伸びてきているようです。これからの動向が気になりますね!
窓の外に目をやると朝とは違う雰囲気に。長野の空に雪が舞ってきました。
☆二次審査☆

ここでちょっこっとコラム。二次審査にいくつ進めるか(残すか)ということは厳密には決めていないそうです。だいたいの目安はあるものの、一次審査の審査員の点数次第。僅差のものが多ければ二次審査に進めるものが多くなるし、大幅に差が開いていれば目安どおりに残す。今年はいったいどうなるんでしょうか?

★2次審査開始です★

味はどうかな? ■第2次審査へ■
予定より10分ほど遅れてのスタート!今年も選考が難しかったようです。大粒部門、小粒部門も19点二次審査に残っていました。 審査方法は一次と同じ5点法ですが、全体的に一点に対する審査時間が皆さん長くなっているようでした。1次審査は審査員が大粒・小粒の二手に分かれましたが、二次審査は部門に関係なく25人全員の審査員が審査に当ります。
審査の制限時間は40分。もちろん早く終われば出てもOK。審査が始まってから10分、彩乃の頭がギンギンズキズキ。気が付けば頭のてっぺんから指先、足先まで完全に冷え切ってきてしまっていました。納豆を鑑評するという性質上、部屋は冷蔵庫に近い状態です。審査員の方々はこんなに寒い中審査をしなくてはいけないなんて本当に大変!!しみじみと感じてしまいました。


総合点は・・・ 20分過ぎに一人目の審査員が出ていかれました。一人目は食文化史研究家の永山先生。一体どんな採点をされたのでしょうか? 続々と審査員の方が退室されていく中、審査員でもある高星会長の一言 「少々硬いのもあったけど、全般的に立派だねぇ」という言葉が今回のレベルの高さを物語っています。
全員の審査が終了。これから集計に入るようです。平成14年度の日本一は一体どこになるのでしょうか!!ドキドキの待ち時間です。

★ついに発表です、緊張の一瞬ですよっ★

高星会長 ■講評■
→全国納豆協組合連合会会長 高星進一さん
農林水産大臣賞「元気納豆 昆布たれつき」を紹介
「今回の出品作品はどこも本当に良かった。特に2次審査に残ったものはどれも、とくに糸引きと香りが良かった。良く糸を引き、芳しい香りが優劣つけがたい仕上がりとなっていた」


須見先生 ←倉敷芸術科学大学産業科学技術学部教授
須見洋行さん
「私は食感がどれも良かったと感じましたね。粘りも強く香りもいい。私の研究によると、食感がいいものは粘りも香りも良くなるという結果が出ています。つまり食感は全部の出来に通じるのです。納豆は第二次世界大戦前から健康食品として認められてはいたが、臨床実験が行われるようになったのはごく最近のこと。動脈硬化の予防など、近年国際的に認められ、研究が進められているということを本当に嬉しく感じております」


永山先生
→食文化研究所 オーナー
永山久夫さん
「世間では女性の28%弱は日常的にサプリメントを使用しているようです。しかし健康食品は世の中に沢山出ているけれども美味しくなければ続けられません。納豆がこれほど健康食品として認められているのは、その効果は言うまでも無く、美味しく続けられる事が最大の要因となっているのです。もちろん納豆は初めから美味しかったわけではありません。初めは個々で作っていた納豆を、業界という形をとることによって、味が向上してきたのです。誠にうれしいことです。皆さんはレポートを書くことが仕事だと思いますが、仕事の前にまずは納豆を食べなきゃね!」


■審査結果■

●農林水産大臣賞
「元気納豆 昆布たれ付」/マルキン食品株式会社(熊本県)

●農林水産省総合食料局長賞(極小・小粒部門)
「わたり国産納豆」/有限会社わたり納豆(宮城県)

●農林水産省総合食料局長賞(中粒・大粒部門)
「おらが街納豆」/内藤食品工業株式会社(北海道)

●厚生労働省医薬局食品保健部長賞(極小・小粒部門)
「北海道産小粒三ツ折」/有限会社川口納豆(宮城県)

●厚生労働省医薬局食品保健部長賞(中粒・大粒部門)
「吟選つるの子」/株式会社大力納豆(新潟県)

●関東農政局長賞(局管内)
「丹波黒豆納豆」/鎌倉山納豆 野呂食品株式会社(神奈川県)

●長野県知事賞(長野県組合)
「小粒納豆鈴丸」/有限会社阿部納豆店(長野県)

●全国納豆協同組合連合会長賞(極小・小粒部門より)
「なっとうやさんの国産大豆納豆」/株式会社小林食品(宮城県)

●納親会長賞(中粒・大粒部門より)
「国産100%大粒納豆」/合資会社丸亀八百清商店(山形県)


★第2会場では★
川柳 今回は同時開催として、納豆川柳の表彰・掲載も行っていました。長野県で募集し、投稿していただいた川柳を全て展示してありました。
優秀賞や佳作はもちろんのこと、惜しくも賞に入られなかった川柳もププッとしてしまうものばかり!!みなさん才能を爆発させていました♪
彩乃もこの際一句。
今年こそ 作ってみせるぞ コタツ納豆
2次審査終了後、会場が一般公開されていたのですがそんな中、3年2組の元気な小学生が見学にきていました。みんなとっても研究熱心。クラスで大豆について勉強しているということで、一生懸命納豆を試食しながらレポートを書いていました。
今日は納豆のエキスパートや職人さんがたくさんいるよ、と聞いてきたらしく、会場の職人さんたちにたくさん質問をしていました!

そんな中彩乃にも質問が。
「どうして納豆食べると頭が良くなるの?」「イソフラボンって何?」「ポリフェノールってなんですか?」その他いっぱい…。
ちゃんと勉強しておいて良かったと、心底思いました。ふうぅ〜。
子どもたち
逆に彩乃も質問を。
彩乃:「普段食べているのと違う?」
小学生:「全然違うよ!なんだかこっちのほうが甘くて美味しい。醤油つけなくても全然平気!」
…私が小学生だったときも、こんな敏感な味覚をもっていたかしら?すごいなぁ。
西条さんと3年2組のみんな→

彩乃:「小粒と大粒どっちが好きかな?」
小学生:「う〜ん、小粒がいいなぁ小粒のほうが食べやすいよ」「あのねぇ、生意気ないいかたをすると、大きいのはちょっと苦いの。大人の味って感じ」
今後を担う小学生がこんなにしっかりとした味覚を持っているなんて、日本食の将来は先が明るそうですね!!
最後は、長野県納豆組合理事長の西条さんの挨拶で。みんなきちんと整列して真剣に聞き入ってました。とってもやさしく物知りな西条さんに感動したらしく帰り際にはサインを求める子も!みんな、頑張って納豆博士になってね♪

外観チェック最後に今回の鑑評会の野呂実行委員長さんに、鑑評会を振り返ってのお話を伺ってきました。
彩乃:この度は、大変お疲れ様でした。二日間通して取材させていただきましたが、運営が大変スムーズに行われている印象でした。
野呂さん:ありがとうございます。でもこれは私だけではなく、実行委員のみんなが頑張ってくれたからなんです。今はみんなにお疲れと言いたい気持ちでいっぱいです。
彩乃:これほど順調に進めることができたということは、今日までにたくさんの準備や打ち合わせがあったかと思いますが、いつ頃から準備を進めていたのですか?
野呂さん:大体6月ごろから準備を始めて来ました。
彩乃:早い!!前回の鑑評会が終わって間もなく準備を始められていたのですね。
野呂さん:はい。今回は長野県での開催だったので、長野の方は特に大変だったのではないでしょうか。県知事賞などもきちんと手続きをふまなくてはいけないし、納豆の保管なども想像以上の負担になりますから。
彩乃:そうですよね。皆さんの作品が一手に集まるのですからね。
野呂さん:早い時期から準備をしていただけあって、12月の段階で詳細まできめることが出来ていたのですが、やっぱり直前になると思いもかけないところから色々な仕事が沸いてきてね。でも彩乃さんが、スムーズだったと感じてくれたのなら大成功だったんですよ。
彩乃:いえいえ、私が感じたのではなく、皆さんがそう感じていたんですよ。本当にこの度は大成功、おめでとうございました。
野呂さんは実行委員長として大会運営をしっかりとされ、なおかつ今回受賞も果たされました。鑑評会運営の成功と受賞の喜びとが重なって、お疲れになりながらも素晴らしい長野の2日間となったと思います。
今回は昨年の仙台に続いての取材となりましたが、納豆業界の皆様の情熱と努力は大変素晴らしく彩乃も随分勉強させていただきました。ありがとうございました。これからの納豆業界の皆様方の益々のご発展を心よりお祈り致します。
椎名彩乃


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